分譲マンションの選び方ガイド

ゆとりローン(ゆとり返済)

ゆとりローンというものをご存知でしょうか?過去に住宅金融公庫(いわゆる公的住宅ローン)として誕生した住宅ローンです。平成4年に販売されたものです。ローンの内容は二段階型の金利による住宅ローンで、いわゆる日本型の雇用体系である「終身雇用」「年功序列」の賃金体系に基づいたローンです。結果からいうと、このローンを利用した人の破綻が急増し平成12年に廃止されました。

失敗しない分譲マンションの選び方

ゆとりローン(ゆとり返済)のしくみ

ゆとりローン(ゆとり返済)というのは、今は所得が少ない人でも、将来の昇給(給料アップ)を見据えて住宅ローンを組むというものです。具体的には契約から当初5年間は通常よりも安い金利でローンを組むことができ、その後は通常のローン金利に切り替わっていくといものでした。

このゆとりローンは、今は所得が低くても将来の給料アップがあるから、それを前借する形で住宅ローンを組んで家を買うというものでした。当時は不況でしたので政策的配慮もあり、このローンは大々的に販売されました。

ゆとりローン(ゆとり返済)の欠点

当時、このゆとりローン(ゆとり返済)は夢の住宅ローンとして高い評価を得ていました。しかしながら、このローンには次の条件が将来確実である必要があったのです。

  1. 雇用が安定していること(終身雇用
  2. 将来は昇給していること(年功序列

つまり、来年は今よりも高い給料をもらっていることが明らかでなければ、組むことができないローンだったのです。(実際に住宅ローンのシミュレーションでも、将来の収入アップが織り込まれた形で計算されていました)

今からすれば、企業のリストラや倒産、派遣社員・契約社員への切り替えなどによって終身雇用も安定的ではありません。年功序列も成果型報酬などによって、長く勤めればそれだけの給料が貰えるなんてことは夢物語です。
でも、当時は上の二つが「当たり前」だったわけです。

それでゆとりローン(ゆとり返済)はどうなったのか?

結果として、不況が続いて、年功序列による賃金アップがないばかりか、ボーナスのカット、あるいはリストラなどによって収入が途絶えたところに、ゆとり期間の終了による住宅ローン返済額の大幅アップが追い討ちとなったわけです。

結果として、高くなった住宅ローンの返済ができなくなることにより家を手放したり、自己破産・清算が必要になる人が急増し社会問題化しました。それによってゆとりローン(ゆとり返済)は制度としても廃止となったわけです。